逗子駅近くの精神科・心療内科診療所。逗葉メモリークリニックは、物忘れ・認知症、うつ病・不安障害や不眠症を専門的に診療します。

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アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、4大認知症といわれる神経細胞の変性から記憶障害を引き起こす病気の中では最も数が多く、認知症の中でも代表的なお病気です。アルツハイマー型認知症のイメージは”認知症とはこんな感じ”という、世間一般のイメージとだいたい一致するといって良いでしょう。

アルツハイマー型認知症の経過と印象

初期のうちは、『物の置き場所がわからない』『先ほど話をしたことを忘れて同じ話を繰り返す』『昨日したはずの約束を忘れる』などつい最近の記憶の障害が目立ちます。これとは対照的に遠い過去の記憶は保たれているものですが、進行すると記憶全体が障害されます。

診察して拝見する印象としては、『明るく元気なご老人』という感じです。

実際、他の認知症にみられる運動障害や意識レベルの低下や、内科のお病気の合併しているケースは少なく、愛想よくお話をしてくださるので、一見では『少し話はかみ合わないけど、元気なご老人だなぁ。別に病気ではないのではないかな』と思えることすらあるものです。

アルツハイマー型認知症の病理と画像所見

アルツハイマー病を引き起こす原因はまだ完全に解明されていませんが、脳内で異常タンパク質が蓄積し、神経細胞が脱落することで発生すると考えられています。

なかでも初期のうちは記憶をつかさどる側頭葉の内側(特に海馬)から神経細胞が脱落してゆくため、つい最近の記憶が障害される症状から発症することが多いです。その後は病変が視空間認知をつかさどる頭頂葉に広がり、実行機能障害や見当識障害といった症状が出てきます。実際頭部CT検査を行いますと、認知症の症状に応じた所見、つまり『海馬が縮んでいる、頭頂葉が縮でいる』といった画像所見がみられるもので、診断の手掛かりになることもしばしばです。

したがって症状としては、進行するにつれて、もの忘れがひどい(記憶障害)だけではなく、記憶全体が障害されてゆくにつれて、それまでできていた料理が難しくなる(実行機能障害)、人の見分けがつきにくくなり、家族を知らない人と勘違いする(見当識障害)なども出てきます。

アルツハイマー型認知症の経過とイメージまとめ

アルツハイマー型認知症が進行し、こうした症状がたくさんみられるようになると、着替えや排泄など日常生活に不可欠な行動が一人でできず、家族などの介護・ケアが必要になります。

総じていうと、アルツハイマー型認知症は、運動障害(麻痺、歩行障害など)や意識レベルの低下(常にぼんやりして眠そう、など)や、内科のお病気の合併などもなく、一見元気そうなのに、自立した生活ができなくなっていく認知症といえるでしょう。

統計上、最終的に神経細胞の脱落が大脳皮質全体に広がると運動障害が出現して寝たきりとなり、栄養状態が悪化し誤嚥性肺炎を起こすなど合併症を引き起こして、平均して10年程度で死亡するとされています。しかし実際のところは明るく長命で元気、一般的に長生きされる印象です。

それ自体は結構ですが、アルツハイマー型認知症は認知機能障害だけではなく、徘徊、暴言・暴力による介護抵抗、幻覚・妄想などの困った行動(=BPSDまたは周辺症状といいます。)が出てくることがあります。

この場合、介護者もゴールの見えない介護で疲弊してしまい、介護うつに至る場合も珍しくありません。

ひとたび発症したアルツハイマー型認知症の進行を止めることや、回復することは現代医学では難しいとされています。現場の医師としては、せめて周辺症状(特に徘徊、暴言・暴力による介護抵抗)だけでも改善させることが要求されると、日々実感するものです。

認知症の早期発見のためのポイント

認知症を早期発見するポイントは「2~3年前まではちゃんとできていたことができなくなる」という変化に気づくことです。これらの変化は自分自身でも気づくことができますが、実際には本人よりも家族など周囲の人のほうが先に気付くことが多いものです。

具体的には、同じことを何度も尋ねる、昼食を何度も食べるといったように、話をしたことや行ったことでなく、話をしたこと、行ったこと自体を忘れるようになった(記憶障害)、時間や日付の間違いが多くなった(見当識障害)、自分で計画を立てることができない・買い物で同じものを買うなど物事をテキパキと進められなくなった(実行機能低下)などの認知症症状や、自信や意欲がなくなる・怒りっぽくなり暴言や暴力をふるう・疑い深くなり物を盗まれたなどあらぬことを言い出す(BPSDまたは周辺症状)などがきっかけで気づくことが多いでしょう。

自分や、大切なご家族が認知症ではないかと心配になったら

もし自分や、大切なご家族が認知症かもしれないと心配になったら、なるべく早く医師の診察を受けてください。嫌な事実に直面するのを避けたいと思うかもしれませんが、認知症に見えても、うつ病や甲状腺機能低下症など、まったく別の病気である可能性もあり、医師の診察で見分けてもらうことが大切です。また、認知症であって早めに治療や対策をはじめることで、その後の生活が大きく変わります。

最近ではアルツハイマー型認知症の新薬も発表されました。しかし、ひとたび発症したアルツハイマー型認知症の進行を止めることや、回復することは現代医学では難しいことは変わっていません。つまり早期発見・重症化防止が大切なことはことにも変わりはありません。家族や身内だけで抱え込まないことが大切とお心得いただき、お近くの『もの忘れ外来』などを気軽に活用して頂ければ深甚です。

逗子・葉山エリアにおいて認知症になっても安心して暮らせるまちづくりの一助になるよう、これからも尽力させていただきます。

平山 大雅

平山 大雅

逗葉メモリークリニック 院長 / 医師 神戸大学医学部卒業
日医認定産業医・認知症サポート医

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